春よ恋「春よ恋」。曲名を連想させるようなこの名前は、平成13年にホクレンで育成した「春まき」小麦の名前です。

「春よ恋」はふたつの「日本で初めて」の枕詞を持つ小麦奨励品種です。ひとつは「民間による育成」ということ。もうひとつは「バイオテクノロジーの手法により育成された」ということです。

小麦は、本格的に普及する場合、「奨励品種」の認定が必要です。そのため、ホクレンで育成した有望系統「HW1号」は、独自の試験だけでなく、道立農業試験場に「委託試験」として「特性の確認」とともに、道内における広域適応性の評価を重ねました。その結果、これまでの「春まき」小麦「ハルユタカ」に比べて、草丈がやや長く、耐倒状性が少々劣る(倒伏しやすい、倒れやすい)ものの、多収で病気への抵抗性、穂発芽抵抗性が優れ、製パン性に優れていることが確認されました。

そして、先の記事で書きました、厳しい開発環境が一転してチャンスをもたらし、実需評価として製粉会社より、実際に生産者現場で栽培、収穫されたサンプルに対してやはり「優れる」との評価を得ることができました。

ここに「春よ恋」が誕生しました。

しかし、まだ課題はあります。耐倒状性が少々劣ることへの対応です。小麦が倒れる(倒伏する)と、品質の劣化となります。道立農業試験場とともに、その課題克服の試行錯誤を経て、ついに倒伏しにくい栽培法を確立しました。

品種開発から13年、現在では「春まき」小麦の作付面積の90%を占めるまでに至っています(平成25年時点)。

多くの研究・試験に携わりご協力いただいた方々、生産者の方々、消費者の皆様のおかげで「春よ恋」は育てていただきました。とはいえ、生産現場での生産性を上げるためにはまだまだこれからの不断の研究努力が必要です。私たちの仕事としての「春」はまだ道半ばと心得ています。

しかし、「春」は必ず来ます。

【資料提供】
ホクレン農業協同組合連合会 池口正二郎 立石和弘

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